徳之島回顧録 その55(アカマタとウミガメ)

 徳之島に行ってから2年目の夏、休みの日には海か山かどちらかで撮影をしてるのだが下久志の海岸で撮影をしているとおじいさん(この後、私の中では亀仙人と呼ぶことになる)が今夜はここでウミガメが孵るから夕方来ればいいと教えてくれた。そこは砂が山状になっていて木の枝が立っていた。そういえば海岸でこんなものがよく見られたがウミガメの産卵後の印だったのだ。

 一旦家に帰り、夜間撮影用にストロボと一脚と懐中電灯を用意して18時過ぎに下久志のその場所に向かった。亀仙人と女の人達とその子供達とで8人集まっていて、しばらく待っていると雨が降り出してきた。雨は激しくなってきたのでみんな帰って行った。私もバイクに向かっていったのだが一脚がないことに気が付いた。明日取りに来ようかと迷ったが小雨になってたので取りに行こうと決意した。もしも、激しい雨が降り続けていたりとか一脚を忘れていなければそこには戻ってなかったはずである。

 もう真っ暗になっていたので懐中電灯を照らしながらその場所に向かうと一脚を見つけることが出来た。産卵場所を見てみると

何が起こっているのかすぐには理解できなかったが生まれてすぐのウミガメにとっての修羅場であることは間違いなかった

産卵場所に頭を突っ込むアカマタ逃げ惑う(単に海に向かってるだけなのかもしれないのだが)ウミガメの子

ウミガメの子が足に当たりグングン押してくるのだが結構力強い、子猫が頭を押し付けてくる感覚に近い

アカマタはウミガメの子を一匹ゲットして草むらへと去っていく。

 当時ペンタックスの一眼でK7を使ってたと思うがこんな暗闇での懐中電灯とストロボで動くものというシチュエーションではどうしてもピントがぴったしとはいかない。今のカメラならピントは外れないのだが・・・。当時でもキャノンやニコンでは外していないと思うのだが、なのでヘタクソと言うのはどうか勘弁して欲しい。

 アカマタが去った後、一眼の動画撮影モードに切り替え海に入っていく様子を撮影。

ウミガメの子は光のある所に向かっていく習性があるようで私の方へ向かって来る。海に入った後もまた引き返してきて私の方へ向かって来る。何とも気持ちのいい至福の時間であった。このままではきりがないので懐中電灯を消ししばらく暗闇で待機、10分くらい経ったところで懐中電灯を点けて家に帰った。

 アカマタというヘビは大きくなると2mを超えるのもいるそうで奄美群島沖縄諸島に生息し気性が荒くハブを縄張り争いでハブを食べる例もよくあるそうです。Wikipediaには”孵化直後のウミガメを襲った例もある”とあるのでかなり希少な場面に遭遇して撮影できたと自負していた。

 それからしばらく経って徳之島の自然の本を作るということで写真を10枚欲しいと声がかかりコンテストみたいなものがあり、この写真を意気揚々と提出した。結局この写真は相手にもされず他の写真で何かの賞をもらったが全然納得がいってなかった。ちなみに南海日日新聞という地方新聞社がこれに共催していた。

 それから6年後の南海日日新聞の記事にアカマタがウミガメの子を捕食した別の人が撮った写真を掲載して、記事にはこんな場面を撮影できたのは初めてなのではみたいなことが書かれていた。私の写真を見てくれていた何人かの人からこの記事の随分前に撮ってたのにねぇとか言われたり南海日日新聞に抗議したらと煽られたりして、南海日日新聞に電話することにした。もちろん、ひっそりと撮影したものの中にこれが含まれているだけなら電話することもなかったのだろうがあのコンテストの納得のいかなさも含めて電話してみた。

私「〇月〇日の新聞にアカマタのウミガメの子を捕食した写真に撮影できたのは初めてではなかろうかと書かれているが数年前に南海日日新聞が共催したコンテストに出店してたんですけど」

南海日日新聞女性「そうなんですか」

私「一応、知らせとこうと思って・・・」

電話を切ってから

私「今日はこれくらいで勘弁してやるわ」

なんとも情けない苦情電話だった。

 今確認してみると電子版からは初めての撮影云々はないので削除してくれたのか電子版にはもともと載せてなかったのかはわかりません。

 愚痴が多くなってしまったが今回のネタ元のアカマタとウミヘビのフォトムービー プラス ウミガメの子が海に入っていく動画のYouTube

 

youtu.be

上の画像をクリックで見ることが出来ます。大きめのモニタで全画面で見ていただければよりお楽しみいただけると思います。

https://www.youtube.com/channel/UCNHsBaKt2guKiDqtHFfCokQ

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